行き当たりばったり小説:神火 #7
思いついている部分まで一気に書いてしまいます
(ここから先はまだかんがえていません^^; さすがの行き当たりばったり小説)
そろそろ巧と業火の戦闘もクライマックス!
目標分岐とはなんなのか気になりますが、物語は先へ進みます
神火 #7
こちらが疲れてきたせいか、相手がさらに攻撃力を上げてきたせいかわからないが、業火の鞭を弾き飛ばせなくなってきた。自分の繰り出した鞭の先が自分に向けて戻ってくる。鞭が纏う炎も威力を増しているようだ。
「そろそろ終わりにしましょう。久しぶりに楽しませていただいた御礼に最後は私の奥義で止めを刺してさしあげます」
業火がこちらを攻撃するのをやめ、自分の周囲で鞭をうならせる。巨大な炎に包まれる業火。これはかなりやばい。
自分の全面に赤いエフェクトが広がる。アイミが攻撃範囲を予測してくれているらしいが、大きく後ろに下がる以外に逃げ場はなさそうだ。
「タッくん、逃げて!」
アイミの合図で思い切り後ろに下がる。目の前に今まで見たことがない巨大が炎の竜巻が生まれていた。
炎が消えた後、つま先の1cm先には大きく円形に地面が焼け焦げて跡が残っている。ギリギリだった。
「この期に及んで逃げるとは往生際の悪い。観念なさい」
業火はもう一度鞭をうならせる。さっきよりさらに巨大な炎が上がる。
次は逃げられない。相殺するには、あの炎と同じぐらいの威力がある攻撃を繰り出すしかない。あの炎と同じくらいの力が欲しい。欲しい。欲しい。欲しい。欲しい。欲しい。
いきなり右腕が熱くなり、前腕が光に包まれたように見えた。
そして俺の鞭も炎に包まれる。業火の攻撃に合わせて、こちらも鞭を繰り出す。
二人のちょうど真ん中で巨大が炎が上がる。
「えっ?!」
業火が驚く顔が炎の向こうに見えた。あいつには俺の少し微笑んだ顔が見えたに違いない。
◆ ◆ ◆
どこかの山奥、洞窟のような場所で目を閉じている少女の顔が歪む。
「流れが変わった」
少女の驚くような声に近くに座っていた男が応じる。
「月読、どうした、何かあったのか?」
「今、未来が変わった。先が見えなくなった。業火を下がらせて」
「わかった。久遠、業火を撤退させろ」
男のそばに控えていた、久遠と呼ばれた、もう一人の少女が応じる。
「盟主様の仰せの通りに」
少女は目を閉じると小さな声でつぶやき始めた。
◇ ◆ ◇
業火の動きは止まった。俺の鞭が炎を纏ったことに動揺を隠せないでいる。
「そんな馬鹿な・・・」
俺も驚いているが、ポーカーフェイスを装う。今の攻撃はものすごく体力を消耗したので、立っているのが精一杯だ。
空の上の方から声が聞こえてきた。
『業火、下がりなさい。盟主様のご命令です』
「久遠ですか。盟主様の命令とあれば仕方ありません」
少し悔しそうな顔を見せたが、業火が鞭を左右に動かすと炎の壁が生まれた。
「巧とやら命拾いしましたね。次は容赦しませんよ」
捨て台詞と共に炎の壁が消えると、そこに業火の姿はなかった。
「やったね、タッくん! とりあえず勝利だよ」
と隣でVサインを送ってくるアイミ。気がついたら、俺はその場に座り込んでいた。なんとか助かった。業火がもう一度攻撃してきたら命はなかったかもしれない。
◇ ◇ ◇
神火島地下 研究所施設内では歓声が上がっていた。
「『ツクヨミ』から目標分岐への移行完了が報告されました」
「やったな」
「やりましたね」
男とまどかは微笑みながら、同時につぶやいた。
「これはプラン立案をしたアイミのおかげね」
まどかの言葉にディスプレイの中でアイミが嬉しそうに笑顔を見せている。
◇ ◆ ◇
「じゃ、そろそろ学校に戻ろうか」
今までにない初体験の連続で疲れ切っている俺に、アイミは休憩時間は終わったよ、ぐらいの感覚で声をかけてくる。
そう言えば授業中だった。
(つづく)